KAMEKER3の誕生まで
セルラー通信式浸水検知センサ「KAMEKER3」は、実際に浸水被害に合われた被災者の方、日々対策に奮闘される自治体の職員の方などたくさんの”声”によってうまれた製品です。このページでは、「KAMEKER3」が誕生するまでの軌跡をご紹介いたします。
被災した経験
2004年10月20日に日本列島に上陸した台風23号は、秋雨前線を刺激しながら北上し、 高波、大雨、土砂崩れ、洪水など、広い範囲に多大な被害を及ぼしました。 人的被害は死者95人、行方不明者3人、負傷者552人。 住家被害は全壊893棟、半壊7762棟、一部破損1万834棟にも及びました。
この台風23号がもたらした大雨により、当時の殿田工場(南丹市日吉町)が浸水し、弊社も大きな被害を受けました。
被災した際の状況は社員から社員へと語り継がれ、今も記憶に刻み込まれています。
この経験もひとつのきっかけとなり、約15年の時を経て浸水検知センサを開発するに至りました。
増加する自然災害
「猛烈な雨(1時間降水量80mm以上の雨)の年間発生回数も、増加しています。
地球温暖化の進行に伴って、大雨や短時間に降る強い雨の頻度はさらに増加すると予測されており、台風や豪雨による風水害・土砂災害発生リスクが高まっています。」
(内閣府ホームページhttp://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/suigai.htmlより)
「線状降水帯」「短時間豪雨」「数十年に一度の豪雨」…聞きなれなかった言葉たちが、梅雨から台風の時期にかけて当たり前のようにニュースなどで使われるようになりました。今や大雨による被害はいつどこで起きてもおかしくないものとなり、その大雨によって引き起こされる浸水被害も増加の一途が予想されます。
このような状況下での弊社も社会に貢献できることがないかという思いも「KAMEKER3」を開発するきっかけとなりました。
2018年 ワイヤレス浸水検知センサ「ワンワンセンサ」の誕生
平成30年の西日本豪雨による被害検証の際に「垂直避難」についても注目されるようになりました。
垂直避難とは、水害等の発生時に今いる建物や近隣の建物の2階以上の高いところに移動する避難方法です。
早めの避難でより安全な避難所に避難することがとても大切なことではありますが、既に災害が発生している状況下では、車での避難等により被災してしまう可能性もあります。このような場合に、一時的な避難として有効なのが垂直避難となります。
この垂直避難のきっかけとなる「逃げる」を知らせることができないかと、最初に開発発売したのが、2018年12月発売のワイヤレス浸水検知センサ「ワンワンセンサ」です。
このセンサは、センサ部を屋外に設置し、受信機を自宅のコンセントに挿すだけで、センサ部が浸水した際に受信機から犬の鳴き声がして浸水を知らせるというものであり、現在も、Amazonサイトのみで販売しており、自宅前の駐車場に止めてある車を浸水被害から逃がすきっかけにご使用いただくなどしています。
ワイヤレス浸水検知センサ
ワンワンセンサ
被災者の方々の声
KAMEKERブランド製品として初めに作ったワンワンセンサーのニーズを検証すべく、実際に浸水被害が多い京都府福知山市に赴きヒアリングを実施しました。
福知山市では由良川の水位情報、ウェブカメラ映像、メール通知、防災無線、防災スピーカーなど、市民に対して提供される災害情報はとても充実しているように思われました。
しかし、市民の方にヒアリングをしてみると、
「自治体から出されている災害情報は、情報の範囲が広すぎて自分事にならず避難活動につながらない」
「河川の水位情報やウェブカメラの映像は市民に公開されているが、大雨の時に逐一見ている人は多くない」
という情報を得ました。
一方で、浸水の多い地域では、地域ごとに避難の目安を持っておられ、ある地点まで水がきたら家財や車を逃がしたり、自身が避難をするというローカルルールがあることを知りました。
「声」からうまれたもの
被災した方々へのヒアリングの結果知ることができた「地域で避難の目安としている地点が浸水した際に、ピンポイントで通知してくれるセンサがあれば欲しい」という声をもとに、どこにでも設置でき、長距離通信が可能で、浸水したらスマホに知らせる商品」を作れば課題を解決できると考えました。
実際に被害に合われた方のニーズを汲んで生まれたのがKAMEKER3(セルラー通信式浸水検知センサ)です。